先生、ボクを飼ってよ


そして、なぜか申しわけなくなった。



「……ごめんね」


「どうして謝るんですか? ボク、謝ってほしくて先生に気持ち伝えたわけじゃないですからね」



でも……



そうじゃないとしたら、どうして……



「知っていてほしかったんです、ボクの気持ちを。本当に、ただそれだけなんです。だから、謝らないで」



そう言って笑っているけど、私には無理して笑っているようにしか見えなかった。



でも、謝罪の言葉以外出てこなくて、私は黙ることしか出来なかった。



「繭先生、最後に一曲聞かせてください」



今度は泣きそうな笑顔。



……私には、ピアノを聴かせてあげることしか、出来ない。



少しでも瑞貴君が元気になれるような曲を弾いて、今日は終わった。


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