先生、ボクを飼ってよ
あの日以来、瑞貴君とは話していないまま、夏休みになった。
そうなったのは、私が避けていたから。
夏休みに入る前、佐伯さんが教えてくれた。
「繭先生、瑞貴となにかあったの?」
瑞貴君と音楽室で別れた一週間後。
放課後、職員室に戻ろうとしたとき、唐突に佐伯さんに聞かれた。
「どうして?」
「瑞貴が……ほら」
佐伯さんに釣られるように、私は教室に視線を向けた。
その先には、うなだれている瑞貴君と、それを眺める田辺君がいた。
「私、瑞貴が先生にあれなの知ってるから、瑞貴が元気ないってことは、先生となにかあったのかなって。それに、先生もどことなく瑞貴のこと避けてるみたいだし……」
瑞貴君を、避けている?
私が?
でも、言われてみるとそんな気がしてきた。
瑞貴君の姿を見つけると、離れるようなことをしていたと思う。
それを、瑞貴君本人だけじゃなく、佐伯さんも気付いていたってことかな。
私、教師として最低なことしたな……