おばさんガール
そんな…。


信じられない。


だって、あの日の記憶はこんなに鮮明なのに。

記憶がなくなったって…



「あの…

私頭がうまく回らない…。」


三津代はパニックになっていた。


「岸さん…驚かれるのも無理はありません。

私もお知らせするタイミングを考えていました。しかし目覚めてすぐにショックを与えることになってしまい…本当に申し訳ありませんでした。」


医師は申し訳なさそうにそう言った。


「はい…。

私…どうしたらいいか。

少し…休ませていただけませんか?

詳しいお話はまた…お願いします。」

医師は少し困った表情で答えた。


「…わかりました。話は後日にしましょう。

とにかく今はケガがよくなるまで、安静にしていて下さい。」


三津代は静かに頷き、医師のいる部屋をそうっと出た。


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