おばさんガール
それは、今朝の事なのに…。

この色気のないカサついた手なのに、繋いだ感触はリアルに覚えてる。


…今の私は、どんな風に生きてきたのかな。


三津代は自分の荷物に入っていたファンデーションのコンパクトを開き、顔を覗き込んだ。


白髪が目立つ。


しばらくカットしてない厚ぼったい髪型。


目の回りにはシミが目立ち、おでこにはくっきりとした3本のシワが並んでいる。


眉毛はあくまで自然体で生えていた。



オバサン。


しかもどちらかというと、ダメな方の。


苦労したのかな。


幸せじゃなかったのかな。


美容師になる夢、叶わなかったの?



結婚は?



私は、未来の私の不幸せを想像し、無意味な同情をした。


そして声を殺し、夜中じゅう泣き続けた。

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