紳士的上司は愛を紡ぐ

「まぁ、人気なのも納得できるか……。」

独りで呟き、食器を片付ける。

深夜ニュース担当の私と、平日朝のニュース担当である彼とでは、勤務中に遭遇する機会は少ない。

私にとってはそのほうが、有難いけど。

なんて思っていると、
私のスマホが着信を知らせた。


「……もしもし、麻里?」

相手は、先程画面で見た涼子だった。

「涼子、丁度見てた。パンケーキ美味しそうだったね。」

放送されている旅番組は収録の為、平日の番組担当が多い彼女も今日はおそらく休みである。

「あぁ、美味しかった〜!相手の俳優は思ってたより背が低くて残念だったけど。」

某有名私立大のミスコンで優勝経験のある涼子は、共演する男性にちょっと厳しい。

ただ、美人で歯に衣着せぬ発言が意外にも世間からは好評で、最近では"毒舌系女子アナ"と呼ばれるようになっている。
< 6 / 143 >

この作品をシェア

pagetop