私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「大丈夫か?」

「はい。ありがとうございました。あの、すみません、グラス割ってしまって……」

「グラスはいくらでも代わりはある。お前の指はひとつしかないだろ。片付けはいいからもう今日は帰れ」

時計を見ると、とっくに0時を回っていた。予想外のアクシデントもあり、まだ時間に余裕はあると思っていたけれど、これから急いで駅に向かっても終電には間に合わないことに気づく。

「終電、逃したか?」

「……みたいです」

タクシーで帰ることを思いついたが、終電を過ぎるとなかなかタクシーも捕まらない。漫画喫茶にでも行って始発で帰ろうかと考えあぐねていると……。

「お前がよければ始発まで店で休んでいればいい」

「え? でも……」

「俺もいてやるから、こんな深夜に女をひとりでぶらつかせられないだろ」

お、女――。

今まで嫌な女。むかつく女。と散々言われてきたのに、この場合の女はなんだかこそばゆかった。しかし、意識しているのは自分だけだ。と冷静になると、急に恥ずかしく思えてきた。

ぎゅるる~~。


そんな時、さっきケーキを食べたというのに、この期に及んで腹の虫が再び疼きだした。

「お前、もしかして、まだ腹減ってるのか?」

「……すみません」

しっかり聞かれてしまった腹の虫をギュ~っと掴み上げたくなる。恥ずかしさで顔を真っ赤にしていると、石堂さんがなにやら冷蔵庫から食材を取り出した。
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