私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
制服に着替え、ホールに出ると、石堂さんが近づいてきて言った。

「指、まだ痛いか?」

「はい。もう大丈夫ですよ、痛みもないし」

私はまだ絆創膏を貼ってはいるが、もう大丈夫と笑って手をヒラヒラしてみせた。

「ガラスの切り傷は治りにくい。無理するな」
それだけ言うと、石堂さんはくるっと背を向けて仕事の続きを始めた。すると石堂さんが思い出したように手を止めてひとこと口を開いた。

「ボード、良く出来てる。サンキュ」

「え……」

石堂さん、ちゃんと見てくれたんだ――。

嬉しい――!

今まで散々なことを言ってきたくせに、私が怪我をしてからというもの、少し石堂さんの態度が変わったような気がする。

「おい、ぼさっとつっ立ってないで、この使い終わったフラスコ洗っとけ」

「あ、はい!」

やっぱり気のせいだよね、うん――。

相変わらず人使いの荒い石堂さんに、一瞬でも態度が変わってきたなんて思った私が間違っていた。と改めて思わされた。
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