私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「花岡さん、毎日シフト入ってるでしょ? だかから、この店のことは、他の従業員より熟知してるし、真面目だし、あ、別に店長になるために実績とか必要ないから」

「……私に店長なんて、務まりませんよ」

笑顔を絶やさない雅人さんに、私は無意識で苦笑いもできないほど低い声が出てしまった。

「え?」

普段見せないような私の表情と物言いに、雅人さんは笑顔を消して私を見た。

やっぱり、石堂さん、この店からいなくなっちゃうんだ――。

だから、次の店長に私を――?

そんなこと、考えたくない――。

そう思ったら、もう理性もなにもなく、私は自身で言葉を止めることができなくなった。

「スフラの人材開発のために私は貢献できたでしょうか……石堂さんから色々教えてもらって本当に嬉しかったんです。でも、それは……石堂さん本人の教え方じゃなくて、会社が決めた指導方法だったんですよね!?」

「え……?」

「店長にならないかって……やっぱり、石堂さん……本社に戻るんですね」

つい感情的になってしまった私を、雅人さんが言葉を失って目を丸くしている。

「そうか……知ってたんだね」

しばらくして、雅人さんが気まずそうにぽつりと言った。
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