私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「黙っててすまなかった。花岡さんが慧と楽しそうに仕事をしている姿を見ていたら……どうしても、慧が本社に戻ること、言えなくてね」

雅人さんは申し訳なさそうに眉尻を下げ、もう一度「すまない」とぽつりと呟いた。

その言葉に、私の理性が熱くなっていた身体を徐々に落ち着かせていった。

「あの、私こそ……ムキになったりして、すみません」

冷静になると、雅人さんになんてことを言ってしまったのだろうと後悔の念に駆られる。

あぁ、最悪……私、八つ当たりしてる――。

なにもかも自己嫌悪だ。そんなふうに思っていた時だった。
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