私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
はぁ、私、なにやってるんだろ――。

何も考えずに飛び出してきてしまった。とにかくひとりになりたくて、店の近くにある公園のベンチに腰を下ろした。駅から少し離れていることもあって、あまり人気がない。ぽつぽつと立っている背の高い街灯がぼぅっと私の足元を照らしている。寒くて震えそうだったけれど、頭を冷やすにはちょうどいい。

冷静に考えてみれば、従業員を育成するためのマニュアルがあるのはどこの会社も当然だ。石堂さんもマニュアル通りの指導をしていただけで、私はそれに倣っていただけ……。いつまでも石堂さんに教えてもらっていては一人前に離れない。いつかは独り立ちの日が来るのだ。そんな当たり前のことなのに、どうしても胸のつかえが取れなくて苦しい。

そうだ……石堂さんは、何も悪くない――。

わかっているのに、泣き出したい自分がいる。
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