私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
少し緊張していたのもあってか、先ほどから指がかじかんでいた。思わずコーヒーカップに両手をそえると、ほわっと優しいぬくもりが手のひらに広がった。

「ありがとうございます」

私がそう言うと、彼はまるで接客業の鑑のようなスマイルで、向かいの席に座った。

「副店長の石堂雅人と申します。すみません、今、責任者が外出していて……」

え? 石堂? 確か店長さんも石堂って苗字じゃなかった――?

私が目をぱちくりさせていると、彼が申し訳なさそうに言った。

「面接だからって伝えてあったんですけどね、どうも気まぐれで……」

そう言いながら困ったように眉を八の字にして苦笑いをする。

「もし、面接までに戻ってこなければ、僕が面接してもいいってことにはなってるんで……。あ、責任者って言うのは実は僕の甥なんです。苗字が同じだから、みんなは雅人さんって言ってくれるけど、よければあなたも気軽にそう呼んでください」

にこにこしながら“雅人さん”は気さくに話してくれる。誰が見ても人柄がよさそうだ。

「冷めないうちに、遠慮なくコーヒーどうぞ」

「はい、ありがとうございます」

そう促され、私はお言葉に甘えて早速コーヒーをひとくち飲むと、昨日とはまた違ったコクのある味わいが口内に広がった。
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