私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
この一ノ宮コーポレーションの令嬢とやらとの婚約の裏で、一ノ宮が何を企んでいるのか、ということだった。
そんなふうに思っていたある日、いきなりアポなしで意外な客が現れた。


「突然、連絡もなしに来てしまって……申し訳ございません。私、一ノ宮智美と申します」

偶然にも、午後からの会議が中止になったおかげで、俺は彼女と会う時間ができた。できれば、一ノ宮智美と会って話を聞きたいと思っていたところだったし、俺にとって都合がよかった。

彼女を応接室に通すと、緊張をしているのか顔をこわばらせて笑顔もぎこちない。それにどことなくそわそわしていた。木製の応接室テーブルを挟んで、俺は彼女の向かいに座り、少しうつむき加減のその顔をじっと見つめた。
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