私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
「はい、もちろんです」

「一ノ宮コーポレーションが不利な立場になっても、不服はありませんか?」

念の為に聞いておく。こんなものを俺に差し出してくるくらいだから、不服もなにもないとは思うが……。それに、なにか交換条件を出してくるかもしれないと、身構えていた。けれど、彼女の口から思いがけない言葉が出て驚いた。

「悪いことをしているのはうちだから、不利になるのは自業自得です」

彼女が俺を見るその視線に、迷いはなかった。

「そうですか、わかりました。それにしても、そういう気の強いところは……里美さんに似てますね」

そう言って笑顔を向けると、彼女は初めて笑みを浮かべた。
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