私、それでもあなたが好きなんです!~悩みの種は好きな人~
私の両親は、私が四歳の時に離婚した。

それはある日突然のことだった。父から“今日から父さんと二人で暮らしていくぞ”と言われ、離婚という意味も理解できなかった当時の私は、なぜ母と姉と一緒にいられなくなってしまうのかわからず、ただ泣きじゃくっていた。

それから父は仕事もせず酒とギャンブルに溺れ、私が中学を卒業する頃には家にも帰ってこなくなってしまった。寂寥感と孤独感から闇雲に何度も母と姉を探そうとしたけれど、まだ子供だった私はなにもすることができなかった。もう四歳から母と姉には会っていない。いまさら会ったところで私のことなんて忘れているかもしれない。と、いつの頃からかそう思うようになった。

孤独の中、泥沼のような人生だったが、唯一幸運なことがあった。社会人としてこの先独り立ちするためには、とにかく進学しようと考えた私は必死に勉強し、その甲斐あって高校も大学も奨学金を受け取ることができたのだ。そんな時、遠方に住む父方の祖母が一緒に暮らそうと言ってくれた。そしてその時、父が病死していた事実を知った。

ほとんど面識のなかった親戚と気を遣いながら生活していく自信がなかったし、父が亡くなってしまったと聞いて、祖母もただの他人のようにしか思えなくなった。自分の人生は自分で切り開いていきたいから、と言って私はやんわりとその申し出を断った。

高校も大学も寮生活で、けして贅沢な暮らしはできなかったけれど、それなりに楽しかった。
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