sugar、sugar、lip
素敵な音色と無防備な笑顔
「ピアノの音色がステキなのは認めるよ」


「……あっそう」


「でも!!」


「なに? 真横でうるさいんだけど……」


「アンタって人間は認めない!! 絶対にっ!!」



「……だから、何? わざわざ言うか? それ」


放課後の音楽室。


だから……何回も言うけど、


放課後の学校が好きな訳じゃないから。


それでも、放課後の音楽室で米倉くんにいちゃもんをつけてる自分がいる……。



だって、一言言っておかないとわたしの気が済まないんだもん……。


ピアノの椅子に腰掛けた米倉くんは、鬱陶しそうにわたしを見てるけど……。



「だから……携帯勝手に見たお詫びに、何か弾きなさいよ」


「……可愛げ無い言い方だな。ホント」


こう言って、米倉くんはため息を一つ。


「リクエストは?」


あっ、リクエスト聞いてくれるんだ……。


……超渋々だけど。



「何でもいいよ。綺麗な曲がいい」


「何でも良くない上に中途半端な注文だな……」



わたしのリクエストにブツブツと文句を言いながらも、手はしっかり鍵盤に触れている。
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