悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
ふたりの恐れを敏感に感じ取った私は、他者に気づかれない程度に微笑する。
ここでレオン様にふたりから受けた仕打ちについて話せば、ロザンヌ嬢の印象は悪くなり、オルドリッジ家にとって利益に繋がるわ。
言ってしまおうかしら? でも……。
挨拶に忙しい彼の横顔を眺めていると、どうしてか告げ口する気が薄れていった。
相手を貶めて自分が優位に立つ。
心に刻まれているはずの父からの教えは、白いベールのようなものに覆われて、見えにくくなっている。
なにもしなくたって、私の方が有利な立場にいるのに、ロザンヌ嬢を崖から突き落とすような真似をしなくてもいいのではないかしら。
そんなことをすれば、かわいそうよね……。
憎んで然るべき相手に同情するとは、私は一体どうしてしまったのだろう。
心を覗けば、恋を自覚したことで、レオン様に気に入られる娘になりたいという、新たな気持ちを見つけた。
私も彼のように人に優しくすれば、家柄のこととは関係なく、女性として好いてもらえるかしら?
でもそれだと、誰かにいつか蹴落とされるかもしれないわ。
したたかさという武器を失って、どうやって身を守ればいいのかわからないし、私が別人になってしまいそうで、なんだか怖いわ……。
ここでレオン様にふたりから受けた仕打ちについて話せば、ロザンヌ嬢の印象は悪くなり、オルドリッジ家にとって利益に繋がるわ。
言ってしまおうかしら? でも……。
挨拶に忙しい彼の横顔を眺めていると、どうしてか告げ口する気が薄れていった。
相手を貶めて自分が優位に立つ。
心に刻まれているはずの父からの教えは、白いベールのようなものに覆われて、見えにくくなっている。
なにもしなくたって、私の方が有利な立場にいるのに、ロザンヌ嬢を崖から突き落とすような真似をしなくてもいいのではないかしら。
そんなことをすれば、かわいそうよね……。
憎んで然るべき相手に同情するとは、私は一体どうしてしまったのだろう。
心を覗けば、恋を自覚したことで、レオン様に気に入られる娘になりたいという、新たな気持ちを見つけた。
私も彼のように人に優しくすれば、家柄のこととは関係なく、女性として好いてもらえるかしら?
でもそれだと、誰かにいつか蹴落とされるかもしれないわ。
したたかさという武器を失って、どうやって身を守ればいいのかわからないし、私が別人になってしまいそうで、なんだか怖いわ……。