悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
暴れ狂う馬の背から今にも落ちそうな私たち。

私は体の全てが、彼は半身が落ちて、かろうじて彼の右腕一本でぶら下がっているような状態であった。

彼だけなら助かる道もあるだろうと思い、私は叫ぶように訴えた。


「わたくしをお放しください! このままではレオン様のお命がーー」

死を覚悟しての願いは、「嫌だ」という掠れたひと言で却下される。


「あなたは王太子ですのよ!?」

「それでもできない。君を失えば、死よりも苦しい地獄の毎日が待っている」


ああ、レオン様……。

愛されていることを強く感じさせてもらっても、今ばかりは喜べず、罪深い自分を呪いたくなる。

こんな私にできることは……。

目にじわりと涙が滲む。

右手で握るようにしているアマーリアに、私は心の中で謝った。


『ごめんなさい。私はなによりレオン様の命が大事なの。どうぞ私を恨んでちょうだい』


苦渋の決意を固めた私は、アマーリアを手放した。

まるで自分の半身を食い千切られたような痛みを覚えながら、必死に両手を伸ばして、あぶみを吊るしている革紐にぶら下がった。


「レオン様、手をお放しください。両手ならきっと、ひとりでも掴まっていられますわ」

「オリビア……感謝する」
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