悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
気を失ってから、どれくらいの時間が過ぎたのか……瞼をゆっくりと開ければ、王城の見慣れた自室の天井が目に映った。
そばには私の世話をしてくれるいつものメイドと、城医の助手と思われる、長袖の白いエプロンを着た三十代くらいの女性がいて、私のベッドに椅子を寄せて座っていた。
私は一体どうしたのかしら……?
まだぼんやりとしている意識で起き上がろうとしたら、立ち上がった城医の助手に止められた。
「急に起きてはいけません。頭を打ったせいで気を失われていたのですから。ご気分はいかがですか? 骨折はされていないようですが、痛む場所はありませんか?」
「ええ、大丈夫ですけど……」
気分は悪くないが、両手が少々痛い。
そう思って両手を顔の前に持ってくれば、そこには包帯が巻かれていた。
ああ、そうだったわ。
アマーリアを手放して、両手で革紐にぶら下がったから、手のひらが擦り切れたのね。
こんな傷くらい、どうでもいい。
枕元の左右を確認してもアマーリアの姿はなく、壊れてしまったであろう私の人形を想い、胸を痛めていた。
修理をしようとは思わない。陶製の顔を付け替えれば、アマーリアではなくなってしまうもの。
あの子は私が壊してしまったのよ……。
悲しみと寂しさが押し寄せてきて、自分の体を抱きしめるように腕を回す。
そうすると、腕の中にアマーリアがいないことで喪失感が余計に際立ち、不安までもが胸に広がるような苦しさに襲われた。
しかし頭が働き出すと、アマーリアを恋しがってばかりではいられなくなる。
私はハッとして、城医の助手が止めるのも聞かずにベッドに上体を起こし、「レオン様は!?」と問いかけた。