秋の待ち人
「ううん、別に急用があってとかではないんだけど。ユカとカケイ君の話になってなにしてるのかなってなって、そしたらユカが番号を知ってるっていうから、それで電話をかけてみたんだけど」


「マジでビックリしたわ俺。サカイこそ元気なん」


「元気、元気、カケイ君も声からだけど、元気そうだね」


電話の向こうからは、人が行きかうような音が聞こえる。


「まあね、若いし元気」


「ねえ、今もしかしてまだ仕事中?」


「いや、今は終わってこれから電車で帰るところ、まだ駅前だけどな。お前は?」

 ――お前、か。

カケイ君が言うお前っていう言葉は、嫌じゃなくてすんなりと受け入れる事ができる。
 それどころか、少し嬉しい気さえする。おかしいのか? 私は。






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