白のアリア
 それから、クルスはアリアを連れて歩いた。
 そして必ずアリアの手をきゅっと握るのだ。
 アリアはそれが恥ずかしくて、でも嫌じゃない
そんな不思議な気持ちで居心地が悪かった。

 その知らせが届いたのは、そんなある日。
 アリアは相変わらずの寒がりで、その日も寒くて
なかなか起きられなかった。

「アリア〜、そろそろ起きようよ〜」

「うーん、寒い〜」

「仕方ない!暖めてあげよう」

「!」

 アリアは思わず飛び起きて、抱きつこうとしたクルスをよける。全く、クルスは油断も隙きもない。
 今では当たり前になった朝の風景、女王を目指して
気を張り詰めていた時が遠く感じる。
 しかし、その日々は確かにあったのだと
この後アリアは身に染み込む事になる。

その知らせが届いたのは、昼下がりだった。
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