理想の彼
彼、現る
そんな悶々とした日々に、彼は不意に現れた。

実在はするけど、知り合いではない。

YouTubeに勝手に上がってきた、艶やかな声の人。

その音楽に一瞬で心を奪われた。音を、声を、待ちきれないほどに渇望する。

私が知らなかっただけの、デビューして何年も経つプロミュージシャン。

その気で探せば山とある彼の歌と映像。見ても見ても足りない。



貴方を求めてばっかりで、いつの間にか大きくなってた心の傷を
彼は埋めてくれた。

一方的な恋情。客観的に見たら莫迦。

わかっていても、救われたと思うのよ。

彼は画面の向こうの人。どんなに好きでも、1ファンに過ぎない。
だから彼に求めるのは素敵な音楽だけ。

艶やかで、切なくて、声が好き。予想を裏切るメロディが好き。
ギターを奏でる手が素敵。中指に光るリングが似合ってる。
カメラに向かう目が、やさしげだったり、切実だったり。
高い頬骨も、笑い皺も、全部好き。

私を助けてくれてありがとう。
もう少しで壊れそうだった。お礼を言うべきはホントは貴方なんだけどね。
彼のおかげで、貴方に平穏な生活を提供できる私が保たれているのよ。


もう私の心は壊れない。
彼が充たしてくれたから。
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