寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~
◇◇◇
「夕食の前にひと泳ぎしてくる」
そう言って部屋を出た理玖さんを迎えに、私は久しぶりに最上階のプライベートプールへとやってきた。
今夜もあのときと変わらず、真っ青なプールがきらきら光る夜の街にぽっかりと浮かんでいる。
幻想的な風景に見入りながらプールに目を向けると、理玖さんはただひとり悠然と泳いでいた。
「理玖さん」
プールサイドから声をかけ手を振る。
すると私に気づいた彼は、あの夜と同じようにイルカのように体をくねらせて私の元へ泳ぎ着いた。
そのしなやかな体を見て鼓動が跳ねたものだから、つい目を逸らす。
「……あの、夕食ができました」
「そうか」
ゴーグルを外す仕草を視界の隅に留めながらいると、理玖さんが「手、貸して」と手を伸ばした。
プールから上がるから手を引っ張ってほしいということらしい。