寵愛命令~強引社長はウブな秘書を所望する~

濃い色味をしたフローリングも滑ってしまうんじゃないかと思うくらい光って見える。

こんなすごい部屋に住んでいるとは……。
一流企業の社長とは、こういうところに住めるものなのか。


「上がって」


出されたスリッパまで上質に見える。
長く広い廊下を突き進みガラスの扉が開かれると、私の前に息を飲むような光景が現れた。
壁一面の大きな窓の向こうには、さっきエレベーターから見えた煌びやかな夜景が見える。
真っ白な壁にグレー系で統一されたセンスのある家具の数々。
それはここへ入るまでに想像していた以上の立派な部屋だった。

ただ、部屋は決して片づいているとは言えない状態だ。
右手には段ボール箱が高く積まれ、真っ赤なクッションが置かれた三人掛けのソファには洋服が置かれ、テーブルの上は書類や本の類で空きスペースがないほど。
フローリングにも紙袋やら、とにかくいろんなものが置いてあった。

衝撃的な光景に唖然としてしまう。


「驚くか、やっぱり……。まだ越してきたばかりなんだ。突然の帰国だったから、ずっとホテル住まいでね。仕事で忙しくて片づけが追いつかない」

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