カフェの人々
高校二年の夏、僕は練習中に交通事故にあった。
相手は原チャリだった。
僕は死んだわけでも、大怪我を負ったわけでもなかった。
日常生活を送るにはなんの問題もなかった。
だがマラソン選手になる夢は絶たれた。
僕がそれなりの有望な選手だったらもっと慰謝料請求もできたし、強く相手を責められたかも知れないが、残念ながら僕は夢だけが大きい月並みのランナーだった。
両親なんかも、これをきっかけに大学受験勉強に励んでくれるからちょうど良かったと言ったぐらいだ。
畜生。
どうせ誰も僕の気持ちなんて分かってくれないんだ。
惰性でしたような受験勉強でいい大学に入れるはずもなく、とりあえず合格した大学の毎日は輝くどころかただ平凡で小遣い稼ぎにバイトを始めた。
早朝ランニングをずっとしていたので、時給の割がいい深夜か早朝かで、僕は迷わず早朝を選んだ。