きっと、ずっと、恋だった。
コウは単に、バスケットボールを追いかけていただけなのかもしれない。
単純アホなコウに、柊香にボールが当たる危険を察知するくらいの余裕があるのかわからない。
だけど柊香の瞳は、コウを見つめていた。
その横顔は、今まで見た柊香の中でいちばん綺麗で。
長い睫毛を少し伏せた瞳は、眩しい太陽を見るみたいに、ゴールを決めたコウを見つめていて。
薄いピンク色に染まった頬に、切なげに逸らした目に。
この一瞬…時間にすれば10秒くらいの出来事で、ずっと分からなかった柊香の気持ちに、気付いてしまった気がした。
そうか、そうなのか。
柊香は、きっとー…。
柊香の腕を掴んだはずの高嶺の手は、行き場を無くしたようにゆっくりと離れた。