きっと、ずっと、恋だった。


コウは単に、バスケットボールを追いかけていただけなのかもしれない。


単純アホなコウに、柊香にボールが当たる危険を察知するくらいの余裕があるのかわからない。






だけど柊香の瞳は、コウを見つめていた。



その横顔は、今まで見た柊香の中でいちばん綺麗で。


長い睫毛を少し伏せた瞳は、眩しい太陽を見るみたいに、ゴールを決めたコウを見つめていて。

薄いピンク色に染まった頬に、切なげに逸らした目に。









この一瞬…時間にすれば10秒くらいの出来事で、ずっと分からなかった柊香の気持ちに、気付いてしまった気がした。




そうか、そうなのか。

柊香は、きっとー…。



柊香の腕を掴んだはずの高嶺の手は、行き場を無くしたようにゆっくりと離れた。




< 43 / 240 >

この作品をシェア

pagetop