【超短編 22】 真説・七夕の由来
真説・七夕の由来
 それは、遠い遠い空の昔々のお話です。

 神様の服を織ることを仕事にしていた織り姫は、来る日も来る日も機を織り続けていました。
 毎日真面目な働きぶりに感心した一人の神様が織り姫に言いました。
「そなたの働きぶりを評して、一つ願いを叶えてやろう」
 しかし、織り姫はこう答えました。
「私は好きで機を織っているのです。この願いを既に叶えてくださっているのに、これ以上何を望みましょう」
 その言葉に神様はまた感心しましたが、外の世界を知らずこのまま美しい織り姫が年老いていくのも忍びないと考え、今度は天の川を渡った所に住んでいる彦星の元に行きました。

 彦星もまた牛飼いをする真面目な青年で、毎日一生懸命に働いていました。
 神様は織り姫に言ったことを、今度は彦星に言いました。
 すると、彦星はこう答えました。
「私はただの牛飼いでございます。他を持ってこの牛をやせ細らせては、先代に示しがつきません」
 また断られてしまった神様は、何とかこの2人を引き合わせようと思案しました。

 ある日のこと、神様は織り姫に少し変わった服を注文しました。
「牛飼いが着ているような服が欲しいのだが?」
 いつもと違う注文に、織り姫は困りました。
「申し訳ありませんが私は牛飼いがどのようなものを着ているのか存じ上げません。よろしければ、教えてくださいませんか?」
 その返答にニヤリとしながら神様は言いました。
「それでは東の天の川を渡った所に牛飼いが住んでいる。それを見てきてはくれんかね」

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