Miss you・・・

明が言ったとおり、蘇我さんが住むマンションは、うちのおんぼろアパートとは、天地以上の差があった。

まずエントランスというのがあって、そこだけでも私たちが住むアパート全世帯分の広さがありそうだ。
しかもエントランスには、常に生花が飾ってある。
花瓶は大きく、新鮮なお花はたくさん。
これだけでも、いくらかかっているんだろう。
と、つい下世話なことを考えてしまった。

そしてエントランスには、コンシェルジュと呼ばれる人が立っていた。

蘇我さんは、「今日からうちに住む、吉原真由美と息子の明。覚えといて」とそこにいた人に言っていた。
倉田と呼ばれたその人は、「かしこまりました、蘇我様」と答えて、パソコンに何やら入力をしていた。

住む世界が違う！
本当にこんなところへ来ていいの？
それより、つい数十分前、蘇我さんのことを危険人物だと警戒してしまったことを、私は恥ずかしく思った。