Miss you・・・
スキャンして、グリーンのランプがつくと、ようやくエレベーターが作動する仕組みになっているそうだ。
エントランスで蘇我さんは、カードを差し込んで、暗証番号を入力していた。
セキュリティの度合いが別世界だ。
と思っているうちに、エレベーターが止まり、扉が開いた。

8階の廊下には、緋色のカーペットが敷き詰められていた。
これは雨の日の清掃が大変だと、現実的なことを考えてしまった。
でもカーペットには、シミや汚れひとつついていない。
私、とんでもなく場違いな場所へ来てしまった・・・。

そのとき、「入れ」と蘇我さんの声が聞こえて、ハッと我に返った私は、後ろをふり返ることなく、慌てて中に入った。
< 24 / 206 >

この作品をシェア

pagetop