15歳、今この瞬間を
さっきあたしが泣いた理由ーーーあたし自身がよくわかっていないのに、佐久田くんはそれをわかっていそうだから不思議だ。

「…なんだよ」

「べ、べつに?」

そっと横顔を見上げたつもりだったのに、その動作でさえ佐久田くんにはお見通しみたいだった。


渡り廊下を渡るとすぐに、あたしたちのクラスである3ー3が見えてきて、開け放たれたドアからリョウくんの姿が目に入ってきた。

やっぱりかっこいいな……なんてほわんとしながら近づくあたしは、

「リョ……」

名前を呼びかけて、止まってしまった。

それはリョウくんが、文化委員の斎藤さんと女子の学級委員の子と、楽しそうにしゃべっているから。

"夢希は、リョウの彼女だ"

「……」

また思い出す、佐久田くんの言葉。

ここは、今この場面は、嫉妬するところなんだろうか…。

「おう、夢希じゃん!」

リョウくんがあたしに気付いて、手招きをしていた。


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