15歳、今この瞬間を
「友達だって早く作らなきゃいけないんだから、ね?」

「…」

廊下を歩きながら話しかけてくる先生に答えることなく、その後ろをついて歩いた。

あたしはこの学校のことを、まだ何も知らない。

自分の教室すら、どこにあるかわからないんだから。

ちらっと後ろを向いてあたしの姿を確認した先生は、またため息をついた。

先生に、「すみません」と謝ればいいのかな…。

でも謝ったところで直す気がないんだから、意味ないような気もする。

校則違反は認めるけど、誰かに迷惑かけてる訳じゃない。


別に、友達なんかできなくてもいいし。

「ここが井上さんのクラス。さっきから全然話してくれないけど、大丈夫?教室に入ったら自己紹介してもらうわよ?」

見上げると、3ー3と書かれたプレートが目に入った。

「…はい」

あたしが小さく返事をすると、先生は「まぁ」と言ってから教室のドアを開けた。

先生は、あなた話せるのね、とでも言いたげだった。

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