15歳、今この瞬間を
声くらい出せるよ、人間だし、生きてるし。

心の中で子供じみた悪態をつくと、先生はガラリと教室のドアを開けた。

「はい席についてー!朝会始めるわよ」

バタバタと席につく生徒たちーーー今日から、クラスメイトになる子たちだ。

そのクラスメイトたちは、突然しんと静まり返った。

「うわ…」

「なにあれ」

コソコソと声が発せられ、当然ながら視線の先にはあたしがいた。

転校生が来ることくらい前もって聞いているだろうに、さも今知ったかのような反応。

こんなのもう慣れっこだ。

髪の毛がどうとか関係なく、転校生というだけで奇異な目で見られるのだから。

5月ともなればそこそこ暑いーーー開け放たれた教室の窓からは、爽やかな風が流れていた。

先生が、黒板にあたしの名前を書く。

「はい、今日からクラスメイトになる井上夢希さんです。大阪から来てくれました。自己紹介をしてもらうから、みんなちゃんと聞いてね」

てか先生が言ってくれたそれで、じゅうぶんなんだけど…。


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