15歳、今この瞬間を
S高に入学しても、あたしの場合卒業するのは別の高校かもしれないから。

「え⁈ちょっと夢希ちゃ……どうしたの⁈」

「え…あ……」

無性に悲しい気持ちでいっぱいになったあたしは、気がつけば涙をこぼしていた。

「ちょっと休も?」

小野さんは、あたしの手を引いて人気(ひとけ)の少ない場所まで連れてきてくれた。

「夢希ちゃん、外で泣くと涙が凍っちゃうよ?」

「ふ……。それ、本気なの(笑)?」

こんな場面で天然ぶりを発揮されたんじゃ、思わず笑ってしまうよ。

「え、だって、そう言わない?」

「愛知県じゃ、涙は凍らないでしょ(笑)」

「そうなの…?知らなかった〜。でも夢希ちゃんが泣きやんだからいいや」

そう言うと、小野さんは満足げな表情をしているように見えた。

「……」

不思議な感じ……これが、友達ってことなのかな。

結局あたしの絵馬にも、小野さんと同じ"S高合格"と書いたけど、S高に合格したとして、それからあたしはどうしていくのだろう…。



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