15歳、今この瞬間を
お父さんが転勤になるまでは、それなりに高校生活を楽しんだりするのかな。

別れの時は…これまでと違って辛いんだろうな。

"離れても…変わらないから"

2学期の始め、席替えの時にロウから言われた言葉ーーー。

「…」

ロウ……離れたら、やっぱりさみしいよ。


無事に絵馬を書いて神社を後にしたあたしは、小野さんと別れてひとり歩いていた。

お母さんはお父さんと初売りに行っているから、家に帰ってもひとりーーー少し散歩でもしてから帰ろうかな…。

幸い今日は、風がなく寒さが和らいでいた。

ーーそうは言っても冬、目的もなく歩くあたしの足は3分後には自宅に向かっていた。

帰ってなにかあたたかいものでも飲もうーーーそう思いながら歩くあたしの背中は、だんだんと丸くなっていったのだろう、

「夢希!」

名前を呼ばれるまで、その存在に気がつかなかったのだから。

いや、気づいていたよ、犬の存在には。

でも、その犬のリードを引いている人までは、見えていなかったんだ。


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