15歳、今この瞬間を
もっと頭を使えよ…そう思いながらふぅっと息を吐き出した時、


「……ありさに」

躊躇いがちに発せられたロウの言葉に、俺は一瞬凍りついた。

俺らの間でありさの名前が出たのは、あの日以来だったから。

「は…まさか、ありさと夢希がか?全然似てないし。やめろよ」

俺は何とか平常心を保ちながら、言葉を返した。

「そうかな〜。確かにどこがって聞かれると困るんだけど、似てる気がしてさぁ」

俺の心中なんか知りもしないで、ロウは歩道の石を蹴りながら、俺の少し前を軽快に歩いていた。

「だからかな、放っておけない感じ」

「…」

ありさは、ひとりしかいないんだ。

夢希なんかと一緒にしないでほしい。

それに俺はーーーロウ、お前を許した訳じゃないんだ。

どうしても許せないんだ……。

どれだけ時が経とうと、忘れることはないんだ。

ロウは、右手で首の後ろを触っていた。

「ロウ…?」

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