15歳、今この瞬間を
あたしの下手くそな笑顔につられてくれたのかなって思ったら、嬉しいような恥ずかしいような、不思議な気分になった。

笑顔のままの佐久田くんは、あたしに向かって軽く右手をあげた。

そういえば最近、佐久田くんからのラインが減ったな……その代わりって訳じゃないけど、7月に入ってからはやたら菊谷くんからラインがくるようになった。

そして小野さんや、その他数人の女子とも番号を交換したあたしのスマホは、また少し重く忙しくなっていた。

「そういえば夢希ちゃん、高校どうするのー?」

「全然…わかんない」

トイレの鏡に映る、黒くなった髪の毛を触りながら答えた。

転校してきてまだ2カ月のあたしには、そういう情報がなかった。

「期末テスト、何位だった?」

「きゅ…93位」

何とか半分以内に入っているけど、あまりいいとは言えなかった。

もっとやっておくんだったと、今になって少し後悔しているあたしがいた。

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