15歳、今この瞬間を
「ん〜、それだったらN高あたりかな。もう少し頑張ればS高とか狙えるかもよ。来週の三者面談で先生が教えてくれると思うよ」

「小野さんは?」

「もーっ、香澄って呼んでよ〜。わたしはS高志望だよ!夢希ちゃんと同じ高校に行きたいなぁ〜」

「…」

小野さんは下の名前を香澄といって、そう呼んで欲しいらしいけど、あたしの中でまだ抵抗があった。

ラインして、一緒にテスト勉強して…その上、下の名前で呼びあって馴れ合うだなんて。

あたしの頭の中に常にあるのは、"別れ"の2文字。

友達や彼氏は、自分の居場所が落ち着いてからでないと作りたくないーーそう思ってきたから。

「あ、そろそろ時間だ!」

本当はもう少し自分の髪を見ていたかったけど、小野さんに促されて教室に戻った。

雨が、しとしとと降っていたーーー。


あたしが髪の毛を黒くした時、クラスのみんなやまっすーは、かなり驚いていた。

でも、1番驚いていたのはお母さんだった。

佐久田くんの反応だけはみんなと違っていて、今でもよく覚えている。


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