全て美味しく頂きます。
 祥善寺に失礼な態度を取ってるのは分かってるけど、今の私に、とても彼を気遣う余裕はなかった。

 こないだの金曜日もそうだし、杉原さんのドタキャンはこれが初めてじゃない。
 どころか、近頃その回数はとみに増えていくばかり。

 私と同じような立場の女(コ)が彼に数人いるのは知っている。
 それとも、今回の出張のコと上手くいったのか。

 彼との付き合いは1年に近いし、もう、私に飽きてしまったのかも知れない。
 
 結婚してたことに始まって、たくさん嘘もつかれてきた。その度に沢山泣いて、何回ももう止めようと思ってきたけれど…
 
 でも一方で、同じ高さだけ彼を信じたいと思う気持ちもつのってゆく。

 だって。

 そうでもしないと、私には何もなくなっちゃう。

 これまで必死で守ってきた唯一の華やかできらびやかなもの、それが私にとっての杉原さん。
 私みたいな女の子には、沢山の犠牲を払わないと、手に入れられないものだった。
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