愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。
それからラーメン屋に着くと、俺達はカウンターに座りそれぞれの食べたいものを注文した。
この店は昔よく敦士と食べに来た所でもあり、店自体はあまり広くはないが、ちょくちょくテレビでも紹介されるだけはあって味には保証のある店だ。
案の定ラーメン好きの梨央は「美味しい。こういうラーメンが食べて見たかったんです!」などと言い、美味しいと何度も連呼し、嬉しそうに食べていた。
それにホッとしつつ、次に向かった場所は水族館だ。
これも梨央の要望で、子供の頃以来の景色に彼女は見るからに瞳を輝かせ胸を踊らせていた。
「イルカのショー可愛かったですね」
今日はよく笑うんだな。
そんな梨央を気付けば目で追っている。
いつも以上の笑顔、終始ご機嫌の梨央を見つめながら、連れてきて良かったと俺も満更じゃない顔になる。
そして自然に繋がれた手を強く握りしめて、彼女に次の要望を聞いてみる。
「で?次は……」
「こんなことならもっとちゃんとした服装でこれば良かったなぁ。デートらしい格好で来ればよかったです」
急に思い立ち、後悔する素振りを見せた梨央に目を向ける。その様子があまりにしょんぼりと健気だったため。
俺は次の瞬間なにも躊躇うことなく口から過保護な台詞を吐いていた。
「じゃ、今から買いに行けばいい」
「えっ?」
俺は梨央の手を引いて歩きだした。
正直こんなのは俺じゃない。
今までこんなキザな行動なんてしたことも考えたこともない。……が、彼女を前にするとどうも普通じゃいられなくなる。
いつもと違うこっぱずかしい行動も案外すんなりできてしまうから、俺でさえ戸惑い、不思議に思う。