愛情の鎖 「番外編」〜すれ違いは蜜の味〜。

クリスマス前日、それは突然の一本の電話から始まった。

リビングでテレビを見ていると、突然母が焦ったように駆け寄ってきた。


「梨央大変。名古屋のおばあちゃんがね、今朝急に倒れたらしいのよ!今から病院に行かなきゃいけなくなったから、梨央留守番頼める?」

「えっ、おばあちゃんが!?」


それは母方の祖母の静江お婆ちゃんだった。

そう言えば最後に会ったのは3,4年前?

笑顔がすごくチャーミングな人で、趣味の傍ら生け花教室を開き、生徒さん達に教えている人だ。


「申し訳ないんだけど、クリスマスパーティーは中止にしてもいいかしら?」

「もちろんだよ!」


残念だけどしょうがない。お婆ちゃんの命の方が大事だもん。クリスマスならまた来年改めてやればいい話だし。

私はコウさんと慎ちゃんにも伝えておくと言うと、慌ただしく支度をして出て行った父と母と菜々を玄関で見送った。

そしてすぐに今回のパーティーの中止を二人にラインで送ると私は深くソファーに持たれかけた。

急に静かになった部屋で私はふと考える。


そっか、私は一人になっちゃったんだ…。

幸い今日は仕事が終わってからコウさんがうちに来てくれると言っていたから少し安心。

あれから家の回りもおかしなことは何も起こっていない。

念のためコウさんが配慮してくれて、日中うちの回りを警備してくれてる人はいるみたいだけど、いまだ犯人は見つかっていない。

まだまだ油断はできない状態は続いてるわけで…
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