赤い刻印 - Secret Love -
でも、不思議と先生には素直になれる。
先生には聞いてもらいたいと思うのは何故だろう?

「男の人は嫌い、憎い。父親のせいでそう思うようになって。その腹いせで荒れてた時期もあった」
「矢沢荒れてたの?」
「うん。男と遊んだり~?夜遊びも日常茶飯事だったよ」

そう言って冗談っぽく笑うと、先生は眉をしかめて作業をする手を止めた。
先生、困った顔してるじゃん。
でも私はもう止まらない。

「さっきの男もそう。汚いでしょ?軽蔑する?」

勝手に話題を振っておきながら泣きそうになっている自分。

情けない。
先生に軽蔑されたかもしれない。
そう思って俯いた次の瞬間、先生の指が私の髪に優しく触れた。

「しないよ。お前は汚くなんかない」
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