赤い刻印 - Secret Love -
「嬉しそうに話すんだね。普段あんな顔したことないのに」
「だね」


確かに普段の香川とは様子が違う。
普段は笑顔なんてほとんど見せない彼女が、キラキラと目を輝かせて村田先生のほうを見上げている。


「アイツ村ちゃんのこと好きなんじゃねーの?」
「香川、化学部だから仲良いんじゃないかな」


私はできるだけ小さな声でそう呟いた。
香川は化学部の副部長だし村田先生と親しくても何ら不思議はない。


「でも絶対にあれは好きだよ。身の程知らずもいいとこ!」
「…」
「香川のくせに男に色目使うなんてさぁ」


わざと2人に聞こえるくらいの声量でそう言う麻美。
何だかこういうの嫌だな…。
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