君に捧げるワルツ ー御曹司の恋と甘い旋律ー
「私のイメージですか!?こんなに綺麗な曲が!!

どうしよう、録音しておけば良かった!もう一度弾いて貰えませんか?」


あまりの衝撃に遠慮も忘れて詰め寄ると、


「だから、曲っていうほどのものじゃないんだって。

もう忘れたよ。全く同じ演奏は無理」


「そうなんですか……!

自分のイメージを音楽にしてもらったのなんて生まれて初めてだったのに……」


ただぼんやりと聞き惚れるだけなんて、酷くもったいないことをしてしまった。


一生に一度の幸運を逃したような気持ちで落ち込んでいると、


「君はバレリーナなの?」


と、改めて聞かれた。


「いえ、そうではなくて……さっきの曲はバレエっぽい動きでしたが、ダンスなら何でもやります。

ステージダンサーを目指してるんですが」


……上手くいかなくて、と言う前に彼の言葉が続いた。


「ダンサー志望なんだ。それならワルツも踊れる?」


「踊りますよ。たまに社交ダンスのデモの相手をする仕事貰いますし」


「デモ?」


「趣味でダンスを習っている方の発表会とか、パーティーで相手役を勤めるんです」


「それならうってつけだ。俺の相手も頼まれてくれない?

報酬は支払うし、お望みなら一曲くらいちゃんと作ってやるよ、君の曲」
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