彼氏じゃないからできた
彼氏じゃないからできた










また今日も夜がやってきた。


わたしは座布団に顔を埋めながら、ぽろぽろと時間をこぼしていた。


わたしは何をしているのだろう。


そんなどこにも行けない問いが頭に浮かんでは消える。わたしの毎日は、限りなく白に近い灰色に塗りつぶされて消えていく。


バイトはインターンシップに集中するためにやめてしまった。


しかし、そのインターンシップも終わってしまい、やることのない夏休みはわたしの上に重くのしかかって、わたしから立ち上がる気力を奪ったのだった。

いっそ早く学校が始まればいい、と思う。学校には夏休みまで一緒にいようとは思わないが、そこそこ仲の良い友達もいるし、やることもある。友達とバイトの話でもすれば、わたしもまたバイトをする気が起こるだろう。


でも今は……何もやる気がしない。だからわたしは手を伸ばして漫画の19巻を開く。わたしもこんな愛の告白をされてみたいなあ。そして、丸顔の猫と一緒に初詣に行くのだ。しかし、この時一緒に歩いている彼氏の姿を元カレそっくりにしてしまい、それによってわたしの妄想は途切れてしまった。


わたしが表紙が眩しいコミックスを手に取ろうと思った時、いびつで神経に障る音が机の上から聞こえてきた。――スマホが震えている、それもCDケースの上で。そんなに必死に、LINEが来たことを主張しなくてもいいのに。わたしはうんざりした気持ちでスマホを取ると、まずサイレントモードに設定し、その後にLINEを確認した。


LINEは、元カレからだった。



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