千秋先輩。その鈍感、本気ですか?
「…っていうわけなんだけど…」
「うーん。そっか〜」
映画から帰って来たお姉ちゃんに速攻で相談してみる。
「まさか部屋のドア開けたら綾が正座してるんだもん。びっくりしちゃった」
「ごめん」
「いいよ。でも難しいねそれ。
…一応確認なんだけど、輝君は綾に何も言ってないんだよね?」
「何を言うの?」
お姉ちゃんがはーっとため息をつく。
「うん、いいや。つまり綾はどうしたいの?」
「…愛海ちゃんを応援したい。
でもそうするには愛海ちゃんの誤解を解かないといけないし…」
「輝君にはっきり言ったら?
ちょっと遊ぶ回数を減らしたいって」
「でも輝は私のこと恋愛感情で好きな訳じゃないのに
変に意識して申し訳ないなって」
「そんなこと言ってたらいつまでも愛海ちゃんに誤解されたままだよ?
綾の正直な所は長所だと思うけど、
それだけじゃ解決しないよ。
今のままだと綾は輝君に対しても曖昧な態度取ってるみたいだし、
綾にとっても愛海ちゃんにとっても輝君にとっても良くないよ。
誰も得しない」
そっか。今までのことを振り返ると、私は頑張るなんて口先だけで、実際何もがんばれてなかったんだ。
「お姉ちゃん…ありがとう。私、輝の所行ってくる!」
「行ってらっしゃい」
お姉ちゃんは最後まで笑顔で見送ってくれた。