千秋先輩。その鈍感、本気ですか?




「…私、好きな人がいるんです」





「えぇ!?」




千秋先輩が漫画みたいにびっくりしてる。

なぜか、私より顔が真っ赤だ。


「そうなのか!?知らなかった…」





「好きな人がいるんですけど、
仲が良いと思ってた男友達に告白されて。
でもその男友達のことを私の友達が好きで…
もう私、どうしたらいいか分からなくて男友達から逃げちゃったんです」





「寺原…」




千秋先輩が私の頭を撫でた。





「大変だったんだな」
また優しい笑顔で私を見る。


ああ、ダメだな。また涙が出てくる。
 




「寺原は頑張り過ぎなんじゃないか?
逃げることだって気持ちは分からんでもないし、
そこまで自分を責めることは無い。
その男友達だって話せばきっと分かってくれる。
逃げる逃げないが大事なんじゃなくて
その後どう向き合うかが大切だと思うぞ」





「そうですよね」




やっぱり輝とこのままなんて良くない。


もう、輝から逃げるのは辞めにする。





向き合うんだ。
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