ロッカールーム
「お父さん!」


あたしは叫ぶようにそう言い、お父さんに抱き着いていた。


「小夜! サク!」


お父さんの大きな手があたしの体を抱きしめる。


あたしの知っているお父さんで間違いない。


「ごめん。ごめんなお前ら」


あたしから身を離したお父さんが唐突にそう言った。


その目からは涙が溢れ出している。


「どうしたんだよ親父。なんで泣いてるんだよ」


サクが戸惑いながらそう聞いた。


「お前らを置いて先に逝ってしまった」
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