ロッカールーム
お父さんは鼻水をすすり上げながらそう言った。


「そんなの仕方のない事だよ」


あたしはそう言いながらも声が震えた。


事故の原因はお父さんが車のスピードを出し過ぎたことにあると、祖母から聞いていた。


見晴らしのいい一本道だったから、ついアクセルを踏んでしまったんだろう。


街灯が少ない田舎道で、対向車だっていなかった。


だけど時刻は夜だった。


街灯のない道でスピードを出したまま運転を誤った車は、そのまま路肩へと乗り上げて建物にぶつかった。


その衝撃で車の前半分は原型もないくらいに潰れてしまったそうだ。


その様子を、あたしとサクは翌日のニュース番組で見ることになった。


テレビの中の車がいつも乗っている車だなんて思えなかった。


グチャグチャに潰れた車体はあたしたちの知っている車とは違った。
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