嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編
話が脱線してしまいましたが、無事に中間考査は乗り切れました!


…よかったぁ。


苦手な国語の読解にてこずった。


ああ、あと化学の反応式も怪しかったなぁ。


終わったから、ま、いっか!
   

 
帰り支度をしていると、前の席のポニーテールが揺れた。



「ことちゃん、お疲れ~!SA特待生は余裕だった?」


 
「ぜんっぜん、そんなことないです!けっこう難しい問題ありましたし…」



「またまた~、そんなこと言っちゃって!どうせ出来てんだから、天狗になったって良いんだよ~」


 
天狗になる?


あの鼻の長い?




…って、あぁ!


私…何想像しちゃってんの?!


日本語特有のたとえってやつでしょ!


    
トホホ…


こんな初歩的なことさえも頭に入ってないなんて…。


私を特待生に選んだ先生たちが泣いちゃうよ。



「あーあ、今日からまた部活か…」



園田さん、部活楽しみじゃないの?


チア部は花形でおっきな声出してダンスして応援しているイメージだけど、実際はブラックな部活なのかな?


部活に入ってない私にとって部活は新鮮なんだけどなぁ。



「チア部ってさぁ、野球部の応援でかり出されるからこれからが正念場なんだよね~。ま、うちの学校は弱小だから、奇跡が起こったとしても2回戦出場くらいだろうけど」



「1回でも勝てたらすごいじゃないですか!」



「ことちゃんってホントピュアだよね。うらやましいよ」



ピュア?


私が?


まさか…そんなワケないでしょう!


私、もう16歳。


子ども心なんて忘れた…はず。




私って…


私って…


幼稚、

ってこと?



…ガーーン。



「ちょっとちょっと、どした?」



がっくりと肩を落とした私の顔を園田さんが覗き込む。


園田さんのシャンプーの甘い香りを吸ってほわほわとした生ぬるい気持ちになった。


まるでハニートラップにかかったかのようだ。



「ま、いいや。ことちゃん、おかしくなっちゃったみたいだし、あとで話せなかったこと、話すね。じゃあ、また明日!バイバーイ!」



園田さんはものすごく足が速い。


ポニーテールをぶんぶん揺らしながら颯爽と廊下を駆けていった。


いやぁ、これぞ正真正銘、ポニーテール。


馬のしっぽに見えてしまった私であった。
< 64 / 137 >

この作品をシェア

pagetop