嵐を呼ぶ噂の学園① とんでもない学園に転校して来ちゃいました!編
「これ、落としたでしょ?」


愛用しているメガネを差し出され、私はおろおろしてしまう。


まともに男子と話したことないのに、このマンガチックなシチュエーションときたらもう…ノックアウト…。


わたし…赤星くん、苦手だ。


しかも近づいちゃダメだって園田さんからきつく言われているし…。


早く帰らないと…。


脳内の引き出しを全開にして、この場からスマートに立ち去るために必要な言葉を探した。



「あのさ、星名さん。キミ…」



「あ、ありがとうございます!メガネ、壊れなくて良かったぁ~。じゃあ、わたしはこれで…失礼します!」



何か言いかけた赤星くんに背を向け、本来の目的の場所へと一目散に駆け出した。


捕まらなくて良かったぁ。


心が忙しい1日だったと振り返りながら、校門が閉鎖される前に帰らねば…と足を速めたのだった。
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