こっちむいて?羽生
最後のホームルームを終えると、みんな少しずつ教室を離れていく。


私たちはそんなクラスメイトにバイバイと声をかけながら、最後まで残っていた。


いつものメンバー、夏帆に由宇ちゃん、五十嵐に羽生、そして美羽の6人。


私はわざと羽生とは目を合わせないようにして、はしゃいでいた。


そのうち、夏帆が先輩が迎えに来たからとさっさと帰っていって、それを機に五十嵐と由宇ちゃんも帰っていく。


残ったのは私と美羽、羽生の3人で、なんとなく気まずい気分になる。


相変わらず羽生の方を見ないようにしていると、美羽が突然帰ると言い出した。


たぶん、気をきかせてるつもりなんだろう。


私が羽生に告白しやすいようにって配慮してくれたのかもしれない。


でも私はそんな美羽の気持ちを無視するように言った。


「じゃあ、私も一緒に帰るよ」


「え……でも」


美羽が困惑したようにチラリと私の後ろを見た。


羽生くんに告白するんじゃないの?


そう言ってるみたいに……


「愛里は俺と帰るだろ?」


背中越しに羽生の声がして、とたんに胸が苦しくなる。

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